メッセージ

東修平

あなたと進めた、新しい畷。

「新しい畷へ」

この思いに共感いただいた多くの方々のお力により、2017年1月に、私は第5代となる四條畷市長に就任いたしました。就任時の所信表明で「誰よりも四條畷市のことを考え、誰よりも四條畷市のために行動する」とお誓い申し上げたとおり、一心不乱に市政運営に邁進する日々が続きます。
 2020年12月には、「ともに進める、新しい畷」を掲げて2期目に挑戦。100年に1度と言われた感染症の最中であり、公務に集中して十分な選挙活動ができなかったにもかかわらず、1期目より多くの皆さまからご支持を賜り、再任させていただきました。
 ここでは、これまで8年間にわたって市民の皆さまとともに進めてきた「新しい畷」について、私が市政運営のバトンを引き継いだ当時の状況を四條畷市の歴史とともに振り返りながら、お伝えしたいと思います。

止まらない人口流出

今から54年前の1970年。当時の四條畷町が市制を施行し、人口約3.6万人の四條畷市として歩みを始めました。そこから都市化が一気に進みます。
 しかし、急激な進展には痛みが伴いました。2万人もの人口増加に対応すべく大型の建設事業を重ねた結果、借金が大きくなり、1997年には実質収支が赤字かつ基金もほとんどないという財政上の危機を迎えてしまいます。そこからは、かの夕張市のような財政再建団体へ転落することを回避するため、市を挙げて財政健全化に取り組むことになりました。
 職員による懸命の努力をはじめ、議会のご理解や市民のご協力により、2007年には11年続いた実質赤字から何とか脱却。しかし、依然として厳しい財政状況であり、引き続き削減を主体とした市政運営とならざるをえず、新しい政策に十分な予算をかけることができない状況が続きます。
 結果として、大都市近郊の緑豊かな住宅都市という本来は魅力的な環境にも関わらず、転入者よりも転出者が上回り続け、私が就任した2017年には、10年連続で人口流出が続いている状況となっていました(図1)。

悪化する財政構造

さらに、財政上の固定費にあたる義務的経費において、2つの課題が生じていました。
 1つ目は、公債費(借金の返済額)の上昇です。財政健全化に取り組む間は、なるべく建設事業を控えて借金の返済に専念し、公債費を年々減少させてきました。しかし、過去一斉に整備した公共施設やインフラが、今度は一斉に老朽化し始めたことで、それらの改修予算が必要となり、2017年から公債費は再び上昇を始めました(図2)。
 2つ目は、人件費の上昇です。2010年代は、団塊世代の方々が一斉に退職を迎えたことで、人件費が毎年下がっていく傾向にありました。しかし、その流れも2016年で終わり、2017年からは、団塊世代の方々と入れ替わる形で入庁した若年層職員の昇給が始まり、人件費が上昇傾向を迎えます(図3)。
 こうした背景から、就任直後の2017年当初予算(一般会計)では、政策的予算をほとんど盛り込んでいない骨格的予算にも関わらず、財政調整基金を5.3億円も切り崩す必要がありました。すなわち、必要最低限の予算すら基金に頼らざるを得ない厳しい財政構造となっていたのです。

改革への決意

ここまでが、私が就任した2017年時点で四條畷市が抱えていた課題です。こうした非常事態とも言える状況のなか、政治経験も無く、28年しか人生を歩んでいない人間が、できることはいったい何か。考えに考え抜いた結論は、これまでに市が着手できなかった取組みに果敢に挑戦すること。次世代に責任を持って四條畷市を繋いでいくために、しがらみがないからこそできる改革を、愚直に進めることでした。
 そこでまず、就任直後より徹底した事業見直しに着手しました。市のすべての事務事業を調査したところ、1782の事業・事務が存在し、計95.4万時間をかけていることが判明。それらすべての事務事業について、すべての課長から1つひとつヒアリングを行い、廃止・効率化・現状維持・拡充と分類分けを実施しました。その上で、2018年1月には『第2次行財政改革プラン』を策定。以降は、危機的現状を何としても打開するために、全庁一丸となってこの改革プランの実行に取り組むことなります。

対話と反省の日々

この行財政改革プランに盛り込んだ内容は、言い換えれば、過去20年にわたる財政健全化の取組みを経ても、なお積み残されてきた課題に対する取組みです。当然ながら、実行に際しては多くの困難が伴うことが想定されました。
 そのため、なるべく多くの市民の皆さまに、市政の現状と、行財政改革の必要性を知っていただきたいとの思いもあり、2017年12月より「地域と市長の対話会」を開催。度重なる直接の意見交換を行う日々が続きます。
 しかし、庁内外にわたる多くの改革を一気に推し進めたことにより、様々な点で至らない点が生じたことは事実です。特に、行政主体ではなく、市民主体の事業推進をめざした団体事務局の移管事業や、団体に支出する補助金を見直した既存補助金のあり方検討などでは、改革を急ぐあまりに、各種団体の皆さまからは様々なご指摘を受けることとなりました。
 それでも、先人から受け継いだ四條畷市を、すべての世代が希望をもって暮らせるまちにしたい。そのために、未来に資する事業にもっともっと投資ができるように何とか行財政改革を成し遂げるんだと、いただいた厳しくも温かいご指導を金言としながら、信念を持って改革に邁進いたしました。

11年ぶりの転入超過

ただ、いくら財政健全化を進めても、住宅都市である四條畷市は人口の流出が続けば未来はありません。そのため、行財政改革と並行して市の魅力づくりも進める必要がありました。その推進役を担ったのが、全国公募により1,700名の応募者から選出され、副市長に就任した林有理さんです(下写真)。私が財政健全化と市民との対話に専念する一方で、民間企業出身(元『スーモマガジン』編集長)で、就任時には0歳児の子育てをしていた林副市長には、魅力あるまちづくりに向けた政策と、庁内体制づくり(職員との対話)を担っていただきました。
 魅力づくりについては、庁内の若年層職員の提案をもとに、子育て支援施策を中心に拡充してまいりました。同時に、こちらも民間から公募したマーケティング監を先頭に、積極的な広報活動にも取り組んだ結果、11年ぶりとなる人口の社会増(転入超過)となりました(図4)。

31年ぶりの財政健全化

人口動態の改善とともに、懸命に取り組んできた行財政改革についても効果が現れ始め、予算編成時に取り崩す基金が徐々に減ってきました。
 そしてついに、就任時の2017年には5.3億円の基金を取り崩さなければ必要最低限の予算も組めなかったところから、2020年の当初予算(一般会計)においては、財政調整基金の取崩しや他基金からの借入れをせず、予算を編成することができるまでに至りました(図5)。これは平成始まって以降初めて、31年ぶりのことであり、まさに財政構造が健全化した証と言えます。

コロナ禍を経ての決断

こうした人口の社会増や、財政構造の健全化という明るい兆しが見えてきた矢先。世界中を襲った新型コロナウイルス感染症に、四條畷市も立ち向かうことになります。そのため、2020年からは市民の皆さまの命と生活を守るべく、財源や人員をコロナ対策へと重点配分してまいりました。
 そして、集中的なコロナ対応が落ち着いてきた2022年9月には、これまでの行財政改革の成果をもとに、四條畷市としては初めてとなる『中期財政計画』を策定。この計画は、これまでの行財政改革プランと異なり、削減を主体とした財政運営から、健全な財政を維持しつつも活力あるまちづくりの実現をめざすべく定めた財政運営の指針です。
 このように財政運営が大きな転換点を迎えたことに加え、2018年に人口が転入超過となって以降、5年間で3度の社会増を達成し、選ばれるまちへの兆しが見えつつあったことから、市長としてある決断をいたしました。
その決断とは、これまでの長く厳しい行財政改革に関係したすべての方々への敬意と感謝を胸に、成長による好循環を実現する市政運営へと大きく舵を切ることです。

新しい畷へ

その決断のもと、2023年3月に『第2期総合戦略』を策定し、2023年から2027年までの5年間を「未来への投資期間」と位置づけました。そして、2023年度より、成長分野において5年間で約50億円規模の集中的かつ大胆な投資を推進。職員が知恵を絞り、市民の皆さまの思いを形にしていくこれからの四條畷は、今よりもっと魅力的になると私は確信しております。
 以上が、市長就任時から、市民の皆さまとともに進めてきた「新しい畷」の概要です。改めて、今日に至ることができましたのは、先人方々のご功績はもちろんのこと、市議会議員各位の深いご理解をはじめ、市民の皆さまの温かいご協力、そして市職員の尽力のおかげです。この場をお借りしまして、心から感謝を申し上げます。

第5代 四條畷市長東 修平
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